この記事を読めば、あなたが『物理のエッセンス』を使うべきか分かります。
結論からいえば、以下のような人にオススメです。
- 物理の入門者
- 学校の授業を聞いたけど、よく理解できない人
- 公式は知っているけど、問題が解けない人
※センター試験で9割を超えるレベルなら、オススメしません。
王道の参考書なので、評価少し辛口にして★7.5とします。
不合格ではありましたが、東大を受験しています。物理は得意科目でした。信憑性は高いと、自負しております。
物理のエッセンスの「特徴」
レベルは?
一言でいえば、「教科書より分かりやすい」超入門書です。
物理のエッセンスより分かりやすい参考書は、ありません。学校・予備校の授業と比べても、かなり分かりやすい部類です。
「力学・波」と「電磁気・熱・原子」の2冊に分かれています。大手予備校である「河合塾」から2013年に出版されていて、多くの受験生から愛され続けてきました。
ただ分かりやすいだけでは、ありません。「実践的」です。
学校の授業では、ただ「知識を教える」という感じが強いですが、物理のエッセンスでは、「解き方」を教えてくれます。実践重視と、言えるでしょう。
ぶっちゃけ、「物理をキチンと理解しようと思うと、大学レベルの数学が必要」です。「いや、自分はちゃんと理解している」という人は、理解していない可能性の方が、高いです。
真の理解は、高校生はあきらめましょう。(とくに電磁気。)いくら時間があっても、足りません。
高校生は、「なんとなく、イメージ」で、意味が分かっていれば十分です。
物理のエッセンスは、そのあたりの事情を踏まえた、「実践的な入門書」といえます。
物理のエッセンスは、導入がとても分かりやすい。最初に解法・全体像を示してくれます。
物理は最初のハードルが高い、と言われますが、それは学校の授業が、「ただ知識を伝える」ことで落ち着いているから。
その知識が、どう問題につながるのか、分かりにくいんですね。
一方、物理のエッセンスは早い段階で、「解き方のステップ」を、「1、2、3、」のように箇条書きで示します。
イラストも多いですから、身近な現象を、しっかり理解することができます。
高校生は、「問題が解けること」がゴールですから。理にかなった教え方だと、思いますよ。
解法も、とても簡潔です。少し使っていれば、すぐに理解できるでしょう。
物理で多いのが、「どの公式を使えばいいのか?」と悩む人。
でも『物理のエッセンス』なら、その心配は必要ありません。「1、2、3、」とステップが示されていますから、それに従うだけです。
買ってスグに効果が、表れるでしょう。
必要最低限
本屋さんで見ると、「薄すぎて大丈夫か・・?」と不安になるかもしれません。
でも心配無用。必要なことは、一通り抑えています。
無駄をそぎ落としているため、「薄く」なっています。
分かりやすいだけでなく、「薄い」のは有難いです。
初心者は、「うわっ・・ まだこんなに残ってる・・」と感じることが、モチベーションを下げます。
逆に、「覚えることは、これだけ。」と思えることが、モチベーションに繋がります。
実際に『物理のエッセンス』だけで、インプットは十分です。
物理のエッセンスは、こんな人にオススメ
物理のエッセンスは、人を選ばない参考書です。
特に「入門者」にオススメです。
また「教科書より分かりやすい」ので、独学で先取り学習したい方にも、オススメです。
以下のような方に、とくにオススメできます。
- 公式は知っているけど、問題が解けない人
- 何をやっているのか、よく分からない人
Amazon >>『物理のエッセンス』
公式の使い方が、分からない人
僕の友達にも、
「運動方程式・運動量保存・エネルギー保存の使い分けが、分からない」という人がいました。
上級者ならば、運動量もエネルギーも、運動方程式から導かれる・・ と知っています。
なにも特殊な式ではなく、状況に応じて使い分ければいいだけ。
でも初学者には、それが難しいんでしょうね。
「どういう時に、何の公式を使えばいいのか」迷子になるのだと思います。
物理のエッセンスは、解法のステップが、「箇条書き」で示されています。
何度もこのステップに従っているうちに、「どんな公式を使えばいいのか」悩むことは無くなります。
何をやっているのか、分からない人
もう1つ、物理でよくある悩みが、「何をやっているか、分からない」です。
公式を当てはめていれば、簡単な問題は解ける。
でもそれでは、少し問題が難しくなると、手が付けられないのです。
現実に起こっている現象と問題とが、結びついていないことに、原因があります。
とくに電磁気で起こりやすい。電場・磁場という、目に見えないものを扱うからです。
でも『物理のエッセンス』なら、現象がしっかり理解できます。
一般的な常識や、身近な例を、導入部分で示してくれるからです。
とっつきにくい物理が、身近なモノに感じられるでしょう。
物理のエッセンスの構成&勉強法
エッセンスは、だいたい↓の流れです。勉強法は、この流れに従えばOKです。
- 現象の理解
- 問題の解法
- 例題 & 解説
- 補足・練習問題
①問題を解くのに必要な基本事項を、教えてくれます。教科書の役割ですね。図・イラストがふんだんに使われています。
イメージによる感覚的な理解はもちろん、理屈から納得もさせてくれます。
②次に、「問題の解法」を教えてくれます。これが「エッセンス」のメリットです。
基本事項を学んでスグに、「解法のステップ」を学ぶので、問題演習へとスムーズに移行できます。
③さっそく例題です。最初は分からなくても良いので、②を見ながら、5分は考えてみましょう。
④後述しますが、演習問題はとばしてOKです。ただし補足事項は、読んでおきましょう。「Miss, Q&A, 知っておくとトク, ちょっと一言, High」など、記号で注意すべきことが分かりやすくなっています。
「知っておくとトク」や「High」は、いきなり頭に入れるのは難しいかもしれません。でも、後々に重要になってくるので、目は通してください。
別の問題集を行うときに、エッセンスをパラパラとめくる事が、あると思います。その際に、「あっ・・ そういう事だったのか」と、ハッとする瞬間がやってきます。
その時のために、1度は読んで、頭の片隅に入れてください。
「Miss」や「Q&A」は、勘違いしやすいポイントを示してくれます。「自分が思い違いをしていないか」疑いながら、読んでください。
物理のエッセンスの使い方
『物理のエッセンス』の使い方を、解説していきます。
※基本的には・・
- 解法を理解する
- 例題を解く
- 解説を読む
という流れで、「前から、順番に読んでいく」のでOKです。
ただし演習問題は、飛ばしても良いと思います(後述)
①~③を解説しても、「しっかり読もう!」くらいしか言うことが無いので。
ここでは、注意点を4つほど、記します。
単元ごとに、復習する!
『エッセンス』自体を1周してから、さてもう1周・・
これでは、最初の部分はすべて忘れています。
電磁気をやるころには、波・熱の大部分を、完全に忘れていることでしょう。
それでは効率が悪いです。1単元ごとくらいで、復習をしましょう。
「勉強自体に不安がある・・」って人は、こちらの記事で紹介している、『超効率勉強法』をご覧ください。復習の仕方が、書いてあります。
物理に限らず、あらゆる教科の勉強に使える。
いや、「大人になってからの資格勉強」にまで利用できる、生涯にわたって役に立つ「神書」です。
公式の導出を再現・・?
「公式の導出を再現できるよういしよう」なんて言っているサイトも見かけました。でも物理の公式を、再現できるレベルはかなり高いかと(笑)
その人は、テキトーに言っているだけなので、無視しましょう。(たぶん物理を知らない人が、数学と間違えてます。)
もちろん、高校生レベルでも一部の公式は、導出できます(運動量保存・ドップラー効果など)。
が、入門者にはレベルが高すぎます。そして『物理のエッセンス』には、載っていないはずです。
- 公式を使って問題が解けるようになる
- 後から公式の導出が、理解できるようになる
の流れがベストです。
高1・2生は、数Ⅲの微積も習っていない人が多いわけですし。導出じたいが、不可能なことも多いです。
入門者は、入門者がやるべきことを、やりましょう。
とはいえ、エッセンスに載っていることは、理解しましょう。
記号に溺れないように
「数学は得意だけど、物理は苦手」な人に多いのが、「記号が多くて、訳が分からない」です。
「何をやっているのか」、式変形の途中で、分からなくなるんですね。
式変形の途中で、頭を使っていない人。単純作業になっている人に、多いと思います。
そこで、よく使われる記号は、しっかり意味を理解しましょう。e・ρ・λ・Φ・・ 嫌になるでしょうが、使っていれば分かってきます。
とくに注意すべきは、「単位」です。
物理の計算ミスは、「記号のミス」が多い。式変形の途中で、「うっかり、記号を抜かす」ミスです。
入試問題では、(1)(2)あたりで記号の計算 ⇒ (3)で(1)(2)の計算結果を基にして、数値計算をするパターンが多いです。
ここで記号の計算でミスすると、後の問題をすべて落とします。これが物理の怖さですね。
ただし、物理には数学と違って、単位があるのです。「単位がおかしい」ことに気付くことが、うっかりミスの発見に1番つながります。
うっかり記号を1つ抜かせば、単位がおかしくなります。
自分が「どんな単位」を計算しているのか意識する。それぞれの記号が持つ単位を抑えておく。
これだけで、たいていのミスは防げます。
簡単ですが、単位を意識していない人は多い。
最初から意識していないから、永遠にミスの原因に気付けないわけです。
たまに出題される、「次元解析」タイプの問題にも、強くなれます。
らく~に解けますよ。というか、「単位、分かってます?」という大学からのメッセージでしょうね。
単位に気を付けるべきは、得に「電磁気」です。記号、いっぱい出てきますからね。
しかも、単位が複数あったりします。
たとえば電場の単位は、[N/C]と[V/m]の両方が、使われますよね。これも混乱の、原因となります。
物理のエッセンスのデメリットを、『良問の風』で補え!
演習は、『良問の風』で。
物理のエッセンスの問題点は、問題演習ができないことです。
いや、できないことは無い。ただ解説が、「あっさり」しているのです。
そこで、『良問の風』という問題集も、同時に購入することをオススメします。
高校生の物理は、とにかく量をこなすのが良いです。僕のオススメは、『良問の風』です。
- 『物理のエッセンス』の練習問題は、とばす
- 代わりに、『良問の風』で、演習をする
これが効果が高い。2冊とも、同じ著者なので、解き方は同じです。
ただ『良問の風』の方が、解説がシッカリしています。
使い方は、物理のエッセンスを1単元(たとえば)が終わる ⇒ 良問の風で対応する問題を解く、を繰り返してください。
どこまで細分化するかは、皆さんに任せます。
到達レベルは?
『良問の風』の難易度は、~大学入試・標準レベルです。
『物理のエッセンス』+『良問の風』だけでも、たいていの大学は合格できます。
到達レベルは、~センター9割・MARCH合格レベルです。
ただし、レベルはあくまで「基本」なので、応用問題を解けるようになるためには、さらなる演習が必要です。
逆にいえば、あと1冊(例えば『重要問題集』や『名問の森』など)を、こなせば・・
旧帝大も、合格できるレベルとなります。
東大に合格する人でも、「インプット用」の参考書はこれ1冊であることも、多いです。東大医学部に合格した友人も、そうでした。
後の演習しだいでは、東大医学部まで視野に入る、ということです。(友人の頭の良さもありますが)
難関大への合格も、1歩1歩進めば、さほど難しくないことに気付いてほしいです。
そのために、まずは『物理のエッセンス』+『良問の風』をやり込むことを、オススメします。
Amazon >>物理のエッセンス 良問の風3冊セット
『物理のエッセンス』が終わったら
すでに『物理のエッセンス』を終えている人は、次は『名問の森』を、やれば良いです。
レベルは高く、東大の問題もたくさん載っています。自信がある人は、チャレンジしましょう。
『物理のエッセンス』~『名問の森』まで、すべて同じ著者です。解き方が同じなので、混乱することなくスムーズに学習を進められます。
ただし、まだ『物理のエッセンス』を購入していないなら。
まずは、『物理を得意科目にしたい人にオススメする参考書&問題集ルート』の記事を読んでほしいです。
この記事では、『物理のエッセンス』以外の、3つのルートを提示しています。
また、「今後の勉強の、全体像」を知っておくことは、有益かと思います。
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