『ハッとめざめる確率』ってどんな参考書なの?東大や医学部にしか使えないの?始めて学ぶ人にも、使える?
この記事を読めば、以下のような事が分かります
- 「確率」という分野の特性
- 『ハッとめざめる確率』の特徴
- 『ハッとめざめる確率』の使い方
要するに、あなたが『ハッとめざめる確率』を使うべきかどうか、分かります。
なお、以降は「ハッ確」と略します。
「場合の数・確率」という分野の特徴
公式が(ほぼ)ない・「思考力」重視
確率が苦手な人は、公式を振り回します。
P(パーミュテーション)・C(コンビネーション)・!(階乗・ファクトリアル)など。
ちなみに「P」は使わない方が良いです。鋭い人は気づいているでしょうが、入試の解答の中で「P」が使われることは、ほとんど無いです。
使う意義が、薄い。ハッ確でも、Pは使わない方針です。
公式を振り回しても、解けるようにならない
それに気づくことが、第一歩です。
「数学 = 公式・解法の当てはめ」だと思っている人ほど、ハマリやすいでしょう。
では、どうすれば「確率を、得点源に」できるのか。
答えは「発想のパターン」を覚えることです。
「この問題は、こう解く」ではなく、その裏側にある「アイデア」を盗んでください。
他の単元に比べて、計算量は少ないので、計算ミスはしにくい。
「発想」さえ間違えなければ、確実に得点できます。
ただし、途中で計算ミスをしても、気付きにくいのが難点。整数・分数の計算ばかりで、計算ミスに気付く要素が無いのです。
また数式が少ない分、解答用紙を完成させるのがしんどいです。
数式の代わりに「日本語」をたくさん書く必要があるので、手が疲れます。
解答用紙に書くべき分量が多いことから、途中で方針の変更をすると、大きな時間ロスに。
解答を書き始める前に、解答までのプロセスが、思い浮かぶ必要があります。
以上より、「発想・アイデア」が大切な単元となります。
難関大の入試で、狙われやすい
「アイデアが大切」であるから、難関大は好んで出題します。
大学が本当に問いたいのは、「計算力」よりも「発想力」です。本当の頭の良さを、見極めることができるからです。
もちろん計算力も大切ですが、今の時代、計算はコンピューターに任せればいい。
大学が「発想力」に重きを置くのは、時代の流れです。
さらに言えば、難関大なら確実に「理学部 数学科」がある。
そして数学の試験を作るのは、数学科の教授でしょう。
数学科の教授は、確率などの「離散数学」が好きです(多分)
教授の「好み」の問題も、あると思います。
文系でも一橋大のような、数学を課す大学では、「確率」が狙われます。
数Ⅲが無い分、より出題されやすい、とも言えますね。
『ハッと目覚める確率』の特徴・対象者
著者は、若くから予備校講師をしている「安田 亨」先生です。
とても有名な方で、多くの参考書を出版されています。僕の学校では、医学部受験生からも、評価は高かったです。
「はじめに」では、北大の医学部を受験する生徒のエピソードが出てきます。安田先生の、教育に対する熱意がうかがえます。
レベル
初学者 ~ 旧帝大・東工大・一橋大レベル です。対象となる層は幅広く、誰でも利用できます。
初学者は、第1部・2部だけを、利用すればOKです。
少し難しいかもしれませんが、努力すれば確率を得意科目にすることもできます。
難関大への対策にも、もちろん使えます。
僕が東大を目指していたとき(不合格でしたが)、確率だけは得点源にできました。
数学の中で、確率が1番の得意分野だったのは、間違いなくこの参考書のおかげです。
ハッ確を1周したとき、レベルが1段階上がったのを覚えています。
感動しました。数学の楽しさも教えてくれた本です。
この参考書がなければ、東大を目指すことさえ叶わなかったかも(言い過ぎですが、それほど愛着があります)
チャートの代わりに使う
僕のオススメは、チャート式などの「代わり」として使うことです。
それが1番、効率が良いです。チャート式の確率よりも、ずっと洗練されていますから。
確率は、『ハッとめざめる確率』+過去問だけでOKです。
なぜ「チャートの代わりに」するのか?
理由は、「時間」です。
「確率」は、難関大が好む&差がつきやすいので、勉強して損のない単元。
とはいえ、数学は単元が多いです。「確率」はそのうちの1分野にすぎず、確率だけに時間を割くわけにはいきません。
『ハッと目覚める確率』は、確率だけに焦点を当てた参考書です。
この参考書に手をつけるということは、「確率」に大きなウェイトを置くことになることを、理解してください。
そのため、他の参考書までこなそうとすると、時間不足になります。
効率を考えると、ハッ確に任せた方が良い。
僕は高1のころ、チャートで勉強しました。でも、もしあの頃に戻れたら。
チャートの「確率」単元は捨てて、『ハッと目覚める確率』で代用しますね。
対象者
センター対策・・ としては合わないかもです。
先ほど言ったように、【初学者が、チャート式の代わりに使う】のはオススメです。
定期試験の対策に、ハッ確を使うのが、最も効率がよい。
ただし、既にチャート式などで基礎をおさえている人は、オーバーワークとなります。確率だけに、時間はかけられません(特にセンターは)
センター対策としては、レベルが高い人に限られます。医学部の、推薦組などですね。
また難関大の受験生には、強くオススメしておきます。
難関大の入試で、よく出るからです。
ハイレベル演習まで完璧にすれば、怖いモノなしですよ。
話をまとめると、対象者は
- 誰にでもオススメできる
- ただし「時間のかけすぎ」に注意する
となります。
ハッ確の特徴
- 安田先生の冗談が、役に立つ
- 絵・図がとても多い
- 独自の考え方
- 別解が多い
ハッ確は、絵・図がとても多いです。苦手意識がある人は、これだけでも確率に対するイメージが変わると思います。
そして安田先生のコメント、とくに「冗談」がすばらしい。
「確率の本質」に気付かせてくれる「冗談」です。
冗談が理解の助けになるなんて、素敵だと思いません?
また4つの特徴の中でも特に、「独自の考え方」に、ハッ確のメリットがあります。
例えば、「日本語に潜んでいる問題」を、教えています。
「~したら」という言葉。ex. Aさんがクジを引い「た」ら元に戻す。
詳しくは伏せますが、この「~した」に罠がひそんでいます。
この勘違いをしている受験生は、多いと思います。
他にも、
- くじ引きの極意
- 差を取って視覚化
- 標本空間の取り方を変える
など、ユニークな教え方が多いのです。(後述)
ユニークといっても、奇をてらっているわけでは無いです。
知っているだけで、周りの受験生に大きな差がつく。
そんなユニークな考え方を、教えてくれます。
タイルの塗分け問題に、樹形図を使ったり。「問題に、感情移入しろ」と言ったり。とてもユニークな授業です。
心が狭いですが、友達にあまり教えたくない本でした(笑)
最後に、「別解の多さ」についてです。
別解を嫌う受験生は多いですが、数学において「別解」はとても大切。
問題によっては、「別解」が主流な解答になることもあるからです。
数学は「解き方を覚えて終わり」では無い。問題によって、最適な解き方は異なります。
「柔軟に」解法を選択していくことこは、数学力そのものです。
この本は、【本物の数学力】を手に入れることを、目的としています。
『合格る確率』と、どっちがオススメ?
『ハッと目覚める確率』をオススメします。
書店で『合格る確率』をパラパラ見ましたが、ハッ確の方が、間違いがないでしょう。
ただ「個人的な愛着」もあります。客観的に評価することは、難しいものです。
気になる人は、書店で見比べてください。
ただし「ハッ確」を始め、東京出版の本は、書店に置いていないことも多い(良書ばかりなのに。けしからん。)
近くの書店に無ければ、Amazonで購入しましょう。
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ユニークな考え方
ハッ確には、他の参考書では教わらないような、面白い考え方が多いです。
そこで、個人的に好きだった考え方をいくつか紹介します。
「感想」に留めます。
ネタバレすると面白くないので。
くじ引きの極意
「くじを引く順番に限らず、あたりを引く確率は対等」であることを利用しています。
シンプルですが、巷の参考書には、載っていません。
巷の参考書は、とても回りくどいことを、しています。逆になぜ、あんな下手くそな解答なのか。
ハッ確をやれば、優越感にひたれます。
「後半に引く人は、残りのくじの数が少なくなるのだから、くじに当たる確率が高くなるのでは・・?」と思った人は、要注意。
今すぐ『ハッとめざめる確率』を買うべきですね。
その状態で、いくら問題を解いても、成績は上がらないでしょう。
視覚化
確率が苦手な人は、頭の中だけで考えようとします。
でも確率は概念的なので、フワフワして捉えどころが無いんですね。
そこで「視覚化」です。
紙に書いてみることで、解けない問題も、一気に解けるようになります。
入試の確率は、「とりあえず絵を書いてみる」姿勢でも、良いと思いますよ。
本の中には、「視覚化」の例題として、東大・京大・一橋などの入試問題が、並んでいます。
難関大の問題であっても、発想1つで簡単に解けてしまうのが、確率の面白さですね。
ハッ確をやれば、確率だけでなく、数学への自信も生まれるでしょう。
標本空間の取り方をかえる
大学生で学ぶ用語ですが、ハッ確では「標本空間」という考え方が出てきます。
何も難しい考え方では無いのですが・・
「標本空間の取り方を変える」だけで、問題がめちゃくちゃ簡単になります。
「確率」に対する姿勢が、180度、変わることになります。
ぜひ、僕と同じ感動を味わってください。
学校・予備校の授業より、はるかに有意義ですよ。
ハッ確の「構成」
- 第1部 場合の数
- 第2部 確率
- 第3部 期待値・分散・二項定理
- 第4部 ハイレベル演習
の4部構成です。
第1部 場合の数は、樹形図・基本公式 ~ 重複組み合わせまで。数え方の工夫も、取り上げています。
第2部 確率は、そもそも確率とは?どう求めるのか?から教わります。「基礎を理解していなかった」ことに、気付くでしょう。
後半では、漸化式・条件付き確率も、取り扱います。
第3部 は、多くの人が、飛ばすことになるかと。サラッと目を通せば、十分です。
第4部 ハイレベル演習は、かなり難しいので注意してください。高1・高2生は、解けなくても問題ありません。
東大・京大・名大・東北大・慶応大などの、試験問題が並んでいます。できる範囲で、チャレンジしましょう。
『ハッと目覚める確率』の勉強法
まず10分は自分で考える
10分 ~ 20分は、自分で考えます。
ここをサボってはいけません。
「自分で考えた記録」があるからこそ、「解説との違い」が分かります。
「どこが分かっていなかったのか」が、浮き彫りになるのです。
でも考えすぎは、非効率。
10分考えても、分からないなら、それ以上は無駄です。
考えすぎるクセがある人は、タイマーを使うと良いですよ。
もちろん、解答が完成するのであれば、もっと時間をかけてもOKです。
解説を読んで、「理解する」
安田先生の、コメント(ときに冗談)を、よく読んで理解しましょう。
解答を目で追っておしまい、ではいけません。
コメントに、ハッ確のエッセンスが詰まっています。
10分考えたなら、その記録が紙に残っているはず。
自分とハッ確の解答を比べて、「アタマの使い方」の違いを、確認してください。
また、「解法を覚えよう」とする意識は、どこかに持ってください。
丸暗記はダメですが、「問題が解ける」ことは、「頭のどこかで解法を覚えている」ことです。
覚えることを、完全に否定することはできません。
間違えた問題を、復習する
間違った問題は、繰り返し解き直します。
3回くりかえせば、頭に入りますよ。
答えの正誤だけでなく、「アタマの使い方」の間違いにも、注目してください。
「なんとなく正解した」問題を、放置してはダメですよ。
まとめ:確率は楽しいよ!
『ハッとめざめる確率』を読めば、「数学の面白さ」が分かります。
あなたも、ハッとめざめてください。
Amazonへ >> 『ハッとめざめる確率』
参考書の中でも、1・2位を争う良書なので、購入を勧めます。
確率を得意にしたい人はもちろん、苦手な人にもオススメしたい。
後半は難しいですが、第1部・第2部だけでもチャレンジしてほしいです。
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