本記事では、偏差値65以上のの大学に通う僕が、1番オススメする英文解釈の本をご紹介します。
それは伊藤和夫先生の『ビジュアル英文解釈』。
愛され続けて30年以上。
不滅のロングセラーです。
『ビジュアル英文解釈』の特徴は?
ちなみに、表記は「×ヴィジュアル英文解釈 ⇒ ○ビジュアル英文解釈」です。
正しい頭の使い方を教えてくれる
この本で紹介されている英文の読み方は、ネイティブがやっているような”自然な”読み方です。
「前から順番に、英語を英語のまま」理解する方法を教えてくれます。
もちろんぼくたちはネイティブではありませんので、「自然」な読み方を意識的に勉強する必要があります。
その際の「頭の使い方」を教えてくれるのが『ビジュアル英文解釈』の大きな特徴です。
「頭の使い方」にこれほど拘る教師は、伊藤先生しかいないでしょう。
この本を何度か繰り返した後、たくさんの英文に触れる。
すると意識しなくても、本書で紹介されている「自然な」読み方ができるようになります。
以下の例文を訳してください。
So many of the leaves have fallen off that these are the only ones left on the branch.
*
*
*
前からちゃんと、訳せましたか?
答えは「木の葉は大部分落ちてしまったので、枝に残っているのはこれだけだ」です。
「So many」を「非常に多くの」と訳してしまった人は、前から訳せなかったと思います。
初心者の方は、そもそも後半に出てくる「that」の意味が分からなかったかもしれません。これは「So ~ that ~」 構文です。
「分かったよ!」というでも、「thatを見て、何のthatか考える」⇒ 「前に戻って Soを見つける」
この読み方をした人は、間違いです。正しい読み方ではありません。
ネイティブがそんな読み方をしているはずがありませんよね。
日本語で考えてもらえば、分かりやすい。
日本語を読んでいる時、文の途中で「え~っと、これは何の構文だろう」なんて考えながら読まないはずです。
目の動きは「左から右へ」。伊藤先生が教える、「自然な」読み方です。
正しい読み方が出来なかった人は、『ビジュアル英文解釈』を読んで、正しい読み方を勉強してください。
例題なら、大したことないかもしれません。でも基礎的な読み方ができてなければ、難しくなった時に立ち止ります。
塵も積もれば山となり、将来的に「何が分からないのか、分からない」状態になりかねません。
ヘンテコな読み方が積み重なり、取り返しがつかなくなりますよ。
『ビジュアル英文解釈』の難易度 (レベル)
ビジュアル英文解釈は2部構成になっています。
partⅠ:中学生・高校1年生~センターレベル
partⅡ: ~2次試験レベル
医学部でもないかぎり、partⅡ以上のレベルの英文解釈本は必要ないでしょう。
partⅡレベルまで完璧にすれば、たいていの大学は合格します。東大でも、partⅡ以上の英文解釈は、必要ないかと。
実際に、『ビジュアル英文解釈』で、東大に合格している人を知っています。
ただし参照の範囲が2冊に渡るため、「センターレベルは余裕だぜ!」っていう人でも、partⅠから始めることをオススメします。
part I は、少し背伸びをしたい中学生でも使えるようになっています。
気軽にチャレンジしてください。
『ビジュアル英文解釈』の分量
partⅠには35の英文、partⅡには26の英文。
計61の短い文章で構成されています。
毎日1つこなせば、2か月で終了。
1つの英文を全訳し解説を読むのに、2時間もみておけば十分でしょう。
ただし現在高校1年生の方は、焦ってすぐにpartⅡに移る必要はないです。
伊藤先生はたくさんの本を書かれています。
その中の1冊、例えば「英文和訳演習の初級編」で演習をしてから、partⅡに移っても遅くないと思います。
『ビジュアル英文解釈』はTOEICに使える?
結論からいうと、「使えます」。
『ビジュアル英文解釈』で教えているのは、「英語の基本的な読み方」です。
大学受験・TOEIC・英検・TOEFL・・ あらゆるテストに通用すると思います。
ただし『ビジュアル英文解釈』で使われている英文は、大学受験用です。
そのため、TOEICとは「英文の雰囲気」が異なります。
TOEICの場合は、大学受験のように難しい構文は、出てきません。英文が簡単で、その分「スピード重視」の試験ですから。
そのため、TOEIC対策には「partⅠ」だけでも十分です。
ハイスコアを目指す余裕のある人は、partⅡもオススメです。
『ビジュアル英文解釈』のおすすめポイント
授業形式・会話形式
伊藤先生と2人(partⅡだと3人)の生徒が、伊藤先生の授業を受けている、という設定です。
各章末には、生徒が先生に質問をし、先生がそれを答えるというシーンがあります。
このQ&Aで先生の授業がより明快になるので、飛ばさずによんでください。解説だけでなく、章末も重要な部分です。
自分もそこで一緒になって、伊藤先生の授業を受けているかのような感覚になりますよ。
たくさんの参照
各解説のはじめには、Reviewという欄があり、ここには英文が並んでいます。
実はこの英文は、以前に出てきたものばかり。
そして解説中では(→Review3)や(→p.52)などのように、何度も何度も前に習ったことを確認させてくれます。
ここに、「自然と復習ができる」仕掛けがあるのです。
よく考えて作られていますね。
30年以上読みつがれる理由が、分かります。
まとめ・ルール
『ビジュアル英文解釈』は「たくさんの参照」でも言及したとおり、読み方のルールに「とにかく慣れさせること」に主眼を置いているようです。
解説の中では、文の読み方のルールが、体系的にまとめられているわけではありません。
ですが・・
p.524で述べたように、この本は、全体の見通しを私だけがアタマの中に持っていて、学生は1つ1つの例題をやり、筆者といっしょに考えていくうちに、知識がラセン状に組み立てられてゆく構成になっています。しかし、最後に、その見通しというかシステムがどのようなものだったかを、まとめて示しておくことは、意義のあることだと思うので、以下にその概要を示しておきます。
引用元:ビジュアル英文解釈[partⅡ]
本の最初や最後には、「英文の読み方の11のルール」「節の10個の組み合わせ」が体系的にまとめられています。
これがかなり優秀。
英語のルールを11個にまとめあげているのです。ヤバイでしょ?
また英文解釈を難しくする1番の要因は「節」です。この節の組み合わせのパターンも、10個にまとめあげています。
またpartⅡの巻末では、さらに詳細にまとめられています。
「たくさんの参照」で頭の使い方に慣れさせつつ、「まとめ・ルール」で英文解釈のシステムを提示する。
巷にある本はこのどちらかに偏っていますが、『ビジュアル英文解釈』は両方を兼ね備えているのです。
一通り終えた後も、巻末が「英文解釈の辞書」として役立ちます。
『ルールとパターンの英文解釈』vs『ビジュアル英文解釈』
ルールとパターンの英文解釈 | ビジュアル英文解釈 | |
著者 | 伊藤和夫 | 伊藤和夫 |
出版社 | 研究者 | 駿台文庫 |
分かりやすさ | ||
イラスト | なし | あり |
索引の充実 | ○ | ◎ |
文章の数 | 40 + α | 61 |
この2冊は、内容・レベルが、よく似ています。
いくつか「同じ英文」もありますよ。
両者とも、↓のように英文を「ルール」と「パターン」にまとめることが、大きな特徴です。(写真は『ルールとパターンの英文解釈』)
ただし、英文の量・イラストの多さ・分かりやすさ・・etc.
どれを取っても、『ビジュアル英文解釈』が勝っています。
伊藤和夫先生への「よくある批判」が、「日本語が分かりにくい」「文章が読みにくい」です。
『ビジュアル英文解釈』にも、「読みにくい」という批判は多いです。
でも、僕は「読みにくい」と感じませんでした。
普通に、理解できると思います。
ただ『ルールとパターンの英文解釈』は、ちょっと分かりにくい。
全体的に「小難しく」書かれています。
内容・レベルが同じなのだから、『ビジュアル英文解釈』を手に取ってください。
僕は『ルールとパターンの英文解釈』を、大学生になってから【復習】として使いました。
皆さんも大学生以降、「学び直し」として、ぜひ『ルールとパターンの英文解釈』で復習してください。
『ビジュアル英文解釈』の使い方
ぼくの使い方を紹介しますね。
画像のノートはぼくが高校生のころに使っていたもの。
左上にはコピーした英文を貼っています。
ノートはB5だと収まりきらないので、A4を使用。
↓写真で使っているのは、こちらのA4方眼ノートです。
①全文和訳→添削
1周目では、和訳を紙に書くことをオススメします。
「めんどくせぇ」って思いましたよね。分かります。
自分がどのような考え方をしたのか、どこでミスをしたのか。自分のミスを浮き彫りにするためにも、必ず全訳をしましょう。
頭の中だけで訳していると解説をよんだときに、「オレ最初からこういう風に訳してたし」と後から都合の良いように解釈してしまいます。
訳すときは、直訳でOK
前から訳していきましょう。1文が長い場合は、細切れに訳す感じで。
「頭の使い方」の答え合わせをしたいので、キレイな訳でなくてもいいです。
それよりも、解説をよく読み、「ちゃんと前から読んでいるか」をチェックしてください。
↓の記事でも書きましたが、「前から読む」以外は、正しい英語の読み方ではありませんよ。
伊藤先生の読み方に従えば、「正しい英語の読み方」になるので、安心してください。
②「気づき」を書く
次にノートに気づきを書いていきます。
些細な事でも書き留めておきましょう。
解説を、「自分の言葉で書き換える」と効果的です。
ここでも大事なのは、頭の使い方。
訳が合っていても、「先生の頭の使い方」と、「あなたの頭の使い方」が異なる場合、それは間違いとみなします。
先生の頭の使い方を、写真の②の部分に書き込みます。
ついでに例文なども書いておくと、復習がしやすいです。
③知らなかった英単語を書いておく
最後に文中に出てきた、知らなかった英単語を書きこみます。
知っていた単語でも、「再び現れたときには、分からないかも・・」っていう怪しい単語は書いておきましょう。
あとでノートをパラパラ見返していれば、英単語は自然と記憶に残ります。
ただし参考書が古いので、マニアックな単語もあります。
覚えない・・のもアリだとは思います。
全訳するときは、辞書を引きながらでも、OKです。
音読する
英語は「理解:慣れ = 5 : 5」です。
「英文の読み方」をただ理解しても、使えなければ意味がありません。
「慣れる」必要が、あるのです。
「慣れる」ために、1番手っ取り早い方法が、【音読】です。
「多読」もアリですが、どうしても1回1回の質が、下がります。(キチンと構文を取らず、惰性で読んでしまう)
でも1つの英文を繰り返し、音読すれば?
「質」を担保しつつ、「量」もこなせますよね。
これが音読をオススメする理由です。
1つの英文を、音読する回数は、5~10回でOKです。
音読するときは、伊藤先生の言う「アタマの使い方」を意識してください。
2周目以降の勉強法
2周目以降もできれば、紙に和訳を書くことが望ましいです。
しかし時間が無い場合は、2周目以降は頭の中で訳すだけでも十分だと思います。
ぼくは1・2周目は紙に書き、3周目以降は頭の中で訳しました。
『ビジュアル英文解釈』以外にもいえることですが、参考書はあれこれ手を出してもあなたの血肉となりません。
参考書マスターになるよりも、本当に良い参考書を何周もするのがベスト。
『ビジュアル英文解釈』は30年読み継がれたロングセラーです。
自分に合うと思ったなら、他の参考書に浮気せず、『ビジュアル英文解釈』だけで勉強してください。
高校1年生でこの参考書に出会えたあなたはラッキーです。
『ビジュアル英文解釈』の次にオススメの参考書
『ビジュアル英文解釈』が終わったら、後はひたすら過去問対策・・でもいいと思います。
ここでは「もっと演習したい!」という方のために、3冊ご紹介しますね。
何度も繰り返せと言った直後ですが、もちろん分量をこなすことも大事ですから。
ただし以下は余裕のある人向けです。
過去問を解くのには、あなたが想像しているよりもずっと時間がかかります。
受験勉強は、「計画的に」行ってください。
伊藤和夫先生の『英文和訳演習』
入門・基礎・中級・上級があります。
partⅡが終わった後なら、中級がちょうどいい難易度でしょう。
2次試験で和訳がある人は、対策として買ってください。
『ビジュアル英文解釈』と同じ伊藤先生の本なので、 とっつきやすいと思います。
伊藤先生が、模試を作るときに使用された、「和訳の採点基準」が各問題に載っています。
そのため採点がしやすいのが◎
これだけ詳しく、最低基準を書いている本は、他にありません。
「何となく」の和訳ではなく、「減点されない」和訳をしたい人にオススメ。
伊藤先生は他にも、たくさんの参考書を、出版されています。
英語要旨大意問題演習 (駿台受験シリーズ)
長文対策の本も、ありますよ。
『ビジュアル英文解釈』を終えた人なら、伊藤先生の本だけを読むので良いと思います。
自分が受験する大学の問題に応じて、選ぶといいですね。
旺文社の『基礎英文問題精巧』
難易度的には、ビジュアル英文解釈partⅡと同じくらい。
ぼくは『ビジュアル英文解釈』に出会う前に、この参考書を使っていました。
『ビジュアル英文解釈』よりも、「英文解釈」としての趣が強い本です。
英文解釈の演習をしたい人にオススメ。
「こんな構文、めったに出てこないよ」と言いたくなる、「問題のための問題」も少しありますが、良い練習にはなると思います。
伊藤和夫先生の『英文解釈教室』
難易度的には、ビジュアル英文解釈partⅡと同じくらい。
ぼくは『ビジュアル英文解釈』に出会う前に、この参考書を使っていました。
『ビジュアル英文解釈』よりも、「英文解釈」としての趣が強い本です。
英文解釈の演習をしたい人にオススメ。
「こんな構文、めったに出てこないよ」と言いたくなる、「問題のための問題」も少しありますが、良い練習にはなると思います。
伊藤和夫先生の『英文解釈教室』
こちらも伊藤和夫先生の本。
『英文解釈教室』はかなり難しい本です。(ぼくは途中で挫折しました)
これをやる余裕があるなら、1つでも多く過去問をやった方がいいかもしれません。
京都大学などの、難しい英文解釈を要求する大学を受験しないかぎり、『ビジュアル英文解釈』でも十分だと思います。
阪大でも医学部でなければ、必要ないかと。自信がある人だけチャレンジしてください。
同じく難しい本として、『英文読解の透視図』があります。
でも伊藤先生と共に勉強してきた方なら、『英文読解の透視図』よりも『英文解釈教室』の方が効果が高いはずです。
スタディサプリ
スタディサプリの【肘井学】講師も、オススメです。
【伊藤先生の参考書”のみ”で、勉強する】のも、確かにオススメです。
ただそれはメリットでもあり、デメリットでもあります。
メリットとしては、同じ先生なので、【教え方が一定】でありブレません。
デメリットは、「マンネリ化」です。
何度も繰り返しているうちに、「飽き」てしまいます。
どれだけ良い教材でも、【惰性】で使っては、効果はありません。
そこで新しい視点を取り入れるのが、オススメです。
スタディサプリ【肘井学】講師の授業では、『ビジュアル英文解釈』とは異なった視点から、英文を見ることができます。
『ビジュアル英文解釈』のpartⅡまでを、完璧にした自信がある人は、いきなり「トップレベル」講座で大丈夫です。
↓記事で詳しく書いています。
『ビジュアル英文解釈』には無い視点が、たくさん学べますよ。
読解力が、1ランクアップします。
>>スタディサプリ【肘井学】さんは英文解釈・長文読解に定評あり
***********
今回は以上です。
『ビジュアル英文解釈』は大好きな参考書だったので、気合を入れて書きました。
お役に立てれば幸いです。
使い方は、とにかく「アタマの使い方」に徹底してこだわることです。
「それくらい・・」と妥協したくなるでしょう。
でも「アタマの使い方」に拘った勉強法をしている人が、最後には合格を勝ち取ります。
長文にも、和訳にも、すべてに効いてくるのです。
おわり!
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